総論 新人PTのための入門
シリーズ:新人PTのための入門 #3
新人PTのための「問診の型」— 何を聞けばいい?最初に押さえる質問リスト
2026/6/8
この記事で分かること
読了時間:約 4 分
- ✓ 問診はセンスでなく「型」。順番と項目を決めれば誰でも聞ける
- ✓ 安全→痛みの基本→生活背景→ゴールの4ブロック
- ✓ そのまま使える質問リスト付き
問診で「世間話」になってしまう、あなたへ
新人の頃、問診がいちばん苦手でした。何を聞けばいいか分からず、気づけば世間話。カルテの欄は空いたまま——。
でも安心してください。問診はセンスではなく「型」です。 聞く順番と項目を決めておけば、緊張していても、初日からちゃんと聞けます。今日はその型を、4つのブロックで渡します。
前回の評価の順番、4ステップの「ステップ1〜2」を、問診として具体的にしたものです。
ブロック1:まず「安全」を聞く(Red Flag)
最初に、危険なサインがないかを確認します。ここを飛ばさないのが鉄則です。
- 「夜、寝ていても痛みますか?安静にしても痛いですか?」
- 「最近、理由もないのに体重が減っていませんか?熱は?」
- 「がんにかかったことはありますか?」
- 「足のしびれ、力の入りにくさ、おしっこ・便の出にくさはありますか?」
当てはまる答えが重なるときは、運動療法より先に受診をすすめます。
📖 もっと詳しく → 腰痛の Red Flag(各論)
ブロック2:痛みの「基本情報」を聞く
次に、痛みそのものの素性を聞きます。覚え方は 「いつ・どこ・どんな・どうすると」。
- いつから?:3ヶ月以上か、最近かで考え方が変わる(→痛みのメカニズム)
- どこが?:1か所か、広いか、放散するか
- どんな痛み?:ズキズキ(ケガ系)/ピリピリ・しびれ(神経系)
- どうすると痛む・楽になる?:前かがみ/反らす/歩くと…(→方向性で分ける)
特に最後の「どの動きで痛むか」は、評価の前後で比べる手がかり(コンパラブルサイン)になるので、必ず聞きます。
ブロック3:「生活・背景」を聞く
痛みは体だけの問題ではありません。仕事・睡眠・気持ちも、痛みの長引きに関わります。
- 「お仕事や家事で、特につらい動作はありますか?」
- 「夜はちゃんと眠れていますか?」
- 「この痛みで、いちばん困っていることは何ですか?」
ここを丁寧に聞くと、信頼関係が一気に深まります。共感が得意な人の強みが活きる場面です(→あなたの臨床推論は何タイプ?)。
ブロック4:「ゴール」を聞く
最後に、本人がどうなりたいかを確認します。
- 「痛みが楽になったら、まず何をしたいですか?」
ゴールが分かると、治療の方向がぶれません。患者さんの「やりたいこと」が、いちばんのモチベーションになります。
そのまま使える質問リスト(コピペOK)
【安全】夜間痛・安静時痛は?/体重減少・発熱は?/がん既往は?/しびれ・脱力・排尿排便の変化は?
【痛みの基本】いつから?/どこ?/どんな痛み(ズキ/ピリ)?/どの動きで痛む・楽?
【生活背景】つらい動作は?/睡眠は?/一番困っていることは?
【ゴール】楽になったら何をしたい?
まとめ
問診は、型さえあれば怖くない。①安全 → ②痛みの基本 → ③生活背景 → ④ゴール。この順でなぞるだけで、必要な情報がそろい、世間話で終わることもなくなります。
慣れてきたら、聞きながら頭の中で「この答えなら、どんな仮説が立つか?」を考えてみてください。それが臨床推論の第一歩です。
- 評価全体の流れ → 評価の順番、4ステップ
- やりがちな失敗 → 新人がハマる3つの落とし穴
- 学びの全体像 → アカデミーの歩き方