新人PTがハマる3つの落とし穴 —「とりあえず」をやめると治療が変わる
2026/6/8
この記事で分かること
読了時間:約 4 分
- ✓ 新人がやりがちな3つの「とりあえず」を知る
- ✓ とりあえず安静/痛い所を揉む/画像のせい、の落とし穴と対処
- ✓ 1つ気づくだけで「理由のある治療」に近づく
「とりあえず」は、新人のSOSサイン
新人の頃、判断に迷うと、つい「とりあえず」で手が動いてしまうことがあります。とりあえず安静、とりあえず揉む、とりあえず画像のせい——。
これは能力不足ではなく、経験が浅いうちは誰もが通る思考のクセです。大事なのは、クセの存在を知っておくこと。気づいた瞬間から、それは落とし穴でなくなります。 代表的な3つを見ていきましょう。
落とし穴①:「とりあえず安静」
痛い=動かしちゃダメ、と考えて安静を勧める。急性のケガなら正解のこともありますが、長引いている痛み(慢性)に安静を勧め続けると、かえって悪化することがあります。
体を動かさないでいると、痛みに敏感な状態(過敏)が進んだり、筋力や自信が落ちたりするからです。
✅ どうする?:痛みが3ヶ月以上続くタイプかを見分け、慢性なら「安静」ではなく「安全な範囲で少しずつ動かす」へ。
📖 もっと詳しく → 痛みのメカニズム分類
落とし穴②:「とりあえず痛い所を揉む」
膝が痛い人の膝、肩が痛い人の肩——痛い場所だけを評価・治療してしまう。これを局所集中のクセと呼びます。
でも、痛い場所は”被害者”で、本当の原因(“加害者”)は離れた場所にあることがよくあります。たとえば膝の痛みの裏に、股関節やお尻の筋肉の弱さが隠れている、というように。
✅ どうする?:痛い場所の上下の関節(隣)も診る。「なぜここに負担が集まったのか?」を一度考える。
📖 もっと詳しく → 方向性・部位・荷重で分ける/修士の臨床記録 Vol.5(膝しか見ない罪)
落とし穴③:「とりあえず画像のせい」
レントゲンやMRIで「軟骨がすり減っている」「ヘルニアがある」と書いてあると、それを痛みの犯人だと思い込んでしまう。これは構造(かたち)に引っ張られるクセです。
ところが、画像の異常は痛みのない健康な人にも普通にあります。画像と症状が合わないことは珍しくありません。
✅ どうする?:画像は参考にしつつ、「どの動きで痛むか」という機能の事実で判断する。画像=犯人、と決めつけない。
📖 もっと詳しく → 修士の臨床記録 Vol.7(MRIを盲信した末路)
3つの落とし穴は、つながっている
実はこの3つ——①安静過信 ②局所集中 ③構造への思い込み——は、このアカデミーが繰り返し扱う「若手が陥る3つのクセ」そのものです。修士の臨床記録シリーズは、私自身がこの落とし穴にハマった失敗の記録でもあります。
ベテランも、最初はみんなここでつまずきました。落とし穴を知っているかどうかが、最初の数年の伸びを分けます。
まとめ
| 落とし穴 | 言い換えると | 代わりにすること |
|---|---|---|
| とりあえず安静 | 安静過信 | 慢性なら少しずつ動かす |
| とりあえず揉む | 局所集中 | 隣の関節も診る |
| とりあえず画像のせい | 構造への思い込み | 動きの事実で判断 |
全部を一度に直す必要はありません。今日、1つ意識するだけで、あなたの治療は「とりあえず」から「理由のある」に一歩近づきます。
- 評価の流れを知りたい → 評価の順番、4ステップ
- 自分の考え方のクセを知る → タイプ診断(無料・2分)
- 学びの全体像 → アカデミーの歩き方