時間の天井の答えは、体を使わない売上を横に足すこと──個人相手から事業者相手へ広げて分かったこと
2026/9/26
この記事で分かること
読了時間:約 6 分
- ✓ 整体の天井は月120枠。上げる道は単価・時間あたり価値・体を使わない売上の3つ。私は3つ目を選び、相手を事業者に広げた
- ✓ 個人相手と事業者相手は別の商売。単価・上限・入金・1件の重さ・インボイスが違う
- ✓ 2ヶ月の実数字=はがき100通で0、封書140通で反応3・成約1、有償2院。それでも都度払いで売掛は持たない
前回、自宅ひとり整体は潰れにくいけれど伸びにくい、と書きました。売上の上限が時間で決まるからです。今回はその天井をどう超えるか、私がいま実際にやっていることと、その数字を書きます。
天井の高さを、先に数字で
私のサロンは1日6枠、週5日で月120枠。全部埋まっても、単価7,500円なら月90万円が理論上の上限です。実際には全部は埋まりませんし、埋めると体が持ちません。損益分岐点の48枠から見れば十分な余裕ですが、ここから先は「時間を増やす」以外に伸ばす方法が無い。これが天井です。
天井を上げる道は3つしかありません。
- 単価を上げる
- 1時間あたりの価値を上げる(複数人・オンライン)
- 自分の体を使わない売上を横に足す
単価は少しずつ上げてきました。でも整体という商売の性質上、個人の財布から出るお金には限りがあります。私が選んだのは3つ目です。そして相手を「個人」から「事業者」に広げました。
個人相手と事業者相手は、別の商売だった
私が横に足したのは、同業の整体院向けに、予約や顧客管理といった事務をAIで自作する手伝いをする仕事です。2026年の夏に始めました。
やってみて分かったのは、個人相手(toC)と事業者相手(toB)は、同じ「自分の技術を売る」でも、お金の性質がまるで違うことです。
- 単価。整体は1回7,500円、個人の財布から出ます。事業者向けは60分10,000円、90日の伴走で5万〜14万円。院の経費から出ます
- 上限。整体は時間に比例します。事業者向けは、一度作った仕組みを別の院にも渡せるので、時間に比例しません
- 入金。整体は当日、回数券なら前です。事業者向けは、普通なら請求書を出して入金を待つ。前回書いた「潰れにくい理由」を、ここで手放すことになります
- 1件の重さ。個人客が1人減っても致命傷になりません。事業者向けは1社に売上が寄ると、その1社に依存します
もうひとつ、事業者相手で初めて気にすることになったのがインボイスです。私はインボイス登録をしていない免税事業者です。個人のお客様には関係ありませんが、事業者が私に払う場合、相手は払った消費税分の一部しか差し引けません。差し引ける割合は2026年9月までは8割、10月からは7割と、段階的に下がっていきます(国税庁 インボイスQ&A 問113)。同じ金額でも相手にとっては割高で、登録していないことを理由に嫌がられることもある。個人相手では一度も出てこなかった話です。
つまり、個人相手は「小さく確実」、事業者相手は「大きく不確実」。どちらが良いという話ではなく、性質が違います。
実際にやってみた数字
正直に書きます(2026年9月時点)。
- 案内のはがきを近隣の院に100通出して、反応は0でした
- 封書の手紙に変えて140通出したら、反応3、成約1
- ホームページからの申し込みは、28日間でフォームの表示122、書き始めた人3、送信0
- 有償のお客様は、始めて2ヶ月で2院。うち1院は月2回のペースで通っていただいています
- 2院からの売上は合計で約9万5千円(HP制作の4万円を含む)。同じ期間に手紙へ使った経費が約6万8千円なので、差し引きで手元に残ったのは約2万7千円です。それでも、この売上は私の施術枠を1つも使っていません
- 別に、放課後デイサービス向けの勤怠アプリを1施設に試していただいていますが、売上はまだ0です
整体なら、新聞の折込チラシを撒けば翌週には新規が来ます(最初の患者はどう集めたか)。事業者向けは、チラシもホームページも、ほぼ効きませんでした。効いたのは手紙と、実物を見せる見学だけ。個人相手で身についた「待てば来る」が通用しない。営業という、整体にはなかった仕事が増えました。
それでも「入金が先」を手放さなかった
ひとつだけ、事業者向けでも守ったことがあります。お金は都度払いにしました。60分ごとに清算し、前払いも回数券もなし。請求書を出して月末を待つ形にしなかった。
事業者相手で売掛金を持つと、相手の都合で自分の資金繰りが決まります。それを避けるために、金額が大きくなりにくい代わりに、入金待ちの無い形を選びました。整体で身についた「現金は先に」を、そのまま持ち込んだ形です。
大きく取れる代わりに資金繰りが悪くなる。それが事業者相手の普通です。私は、大きくは取れないけれど資金繰りは変えない、という中間を選びました。
もうひとつ、売掛金を持たないことには、資金繰りとは別の効きめがあります。貸倒れがないことです。請求書を出した相手が払えなくなれば、その売上は消えます。倒産した企業の4割近くが直前の決算では黒字だった、と前回書きましたが、黒字のまま倒れる原因のひとつがこの未回収です。都度払いなら、受け取っていない売上はそもそも存在しません。
土台を残したまま、横に足す
ここまでで言いたいことは一つです。
潰れにくい商売を、伸びる商売に乗り換えるのではない。潰れにくい商売を土台に残したまま、伸びる商売を横に足す。
整体の売上があるから、事業者向けの仕事が0件の月があっても困りません。事業者向けの仕事があるから、整体の時間の天井に絶望しなくて済みます。守りが強いから攻めに時間を使える、と前回書いたのは、この形のことでした。
始めて2ヶ月で有償2院・アプリ0。伸びたと言える数字ではまだありません。半年後にまた、数字で書きます。
まとめ
- 整体の天井は月120枠。上げる道は単価・時間あたりの価値・体を使わない売上の3つ
- 個人相手と事業者相手は別の商売。単価・上限・入金・1件の重さ・インボイスが違う
- 2ヶ月の実数字は、はがき0・封書で反応3成約1・有償2院。効いたのは手紙と見学だけ
- 事業者相手でも都度払いにして、売掛は持たない。土台を残したまま横に足す
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