Physio Kimura Academy
施術室の商売論 シリーズ:施術室の商売論 #3

結果に値段がつくのに、人にも少しだけ値段がつく仕事

2026/6/20

結果に値段がつくのに、人にも少しだけ値段がつく仕事

この記事で分かること

読了時間:約 3 分

  • エアコン清掃は「結果に値段」側だが、技術差と指名で人にも少しだけ値段がつく中間
  • 物差しは白か黒かではない。結果と人の間に、いくらでも濃淡がある
  • 同じ「結果に値段」でも、季節の波があると安定の作り方は軽貨物とまるで違う

前回、軽貨物ドライバーさんの話を書いた。運ぶ仕事は結果に値段がつき、うちの仕事は人に値段がつく。世の中の商売は、その二つに分かれるのかもしれない——そんな話だった。

でも、きれいに二つには分かれなかった。ちょうど真ん中にいる人が、施術室に来てくれた。

エアコンクリーニングをされている方。夏場はとにかく予約が詰まって体がもたない、という方で、腕も腰もパンパンに張っていた。繁忙期は休む暇がない、と言いながら、それでも、どこか誇らしげだった。施術しながら、また商売の話になった。

任せられるけれど、任せきれない

このシリーズを書きながら気づいたことがある。

他業種の方の話を聞くと、自分の仕事の輪郭が、逆に見えてくる。比べることでしか見えないものが、ある。

エアコンの仕事は、面白い位置にいた。

きれいになる、という結果が価値なのは、運ぶ仕事と同じだ。だから人に任せて、増やすこともできる。実際、チームでやっている、と言っていた。ここまでは「結果に値段がつく」側の商売だ。

でも、まったく同じではないらしい。

分解や仕上げには、はっきり技術の差が出る。失敗すれば水漏れも故障もある。だから新人をいきなり一人で現場には出せない。そして、「前回の人がよかった」と、指名が入ることもある、と。

任せられるけれど、任せきれない部分が、少しだけ残る。

結果に値段がつく商売なのに、人にも、ほんの少しだけ値段がついている。

運ぶ仕事ほど、まるごとは任せられない。かといって、うちの整体のように、丸ごと「人」に貼りついてもいない。ちょうど、その間。

夏に集中し、冬に静まる——季節の波

もうひとつ、うちと大きく違うところがあった。

季節の波だ。

夏に需要が、どっと集中する。その時期は体が悲鳴をあげるほど忙しく、冬になると、すっと静かになる。波が、激しい。

うちは、一年を通して、同じ方が月に一度くらいのペースで通ってくださる。だから売上が平らで、読める。けれどエアコンは、一年の中で、忙しさの山と谷がくっきりしている。だから、人を抱えるのも難しい。繁忙期に合わせて雇えば、閑散期にその人件費が重くのしかかる。

同じ「結果に値段がつく」側の商売でも、安定の作り方は、軽貨物ともまるで違っていた。

物差しは、白か黒かではなかった

並べてみると、こうだった。

運ぶ仕事は、結果に値段がつく。 うちの仕事は、人に値段がつく。 エアコンは、その間で、結果に値段がつきながら、人にも少しだけ値段がつく。

物差しは、白か黒か、ではなかった。その間に、いくらでも濃淡がある。商売は、思っていたより、ずっと多彩だった。

同じ「体を使う商売」でも、お金の払われ方も、忙しさの波も、こんなに違う。施術室にいると、いろんな商売が、体の疲れ方と一緒に運ばれてくる。それを聞くのが、最近ひそかな楽しみになっている。

——ここまでは、うちとは「違う」商売の話ばかりだった。

でも次に来てくれた人は、違った。話を聞きながら、ずっと「これは、うちだ」と思っていた。