SNSが苦手な整体院オーナーへ──「やらなきゃ」の前に、台帳を見てほしい
2026/8/1
この記事で分かること
読了時間:約 4 分
- ✓ 予約台帳を実測したら、Instagram起点の予約はゼロだった。投稿を2ヶ月止めても実害なし
- ✓ 整体とSNSの相性は「業態」でなく「あなたの患者さんがSNSにいるか」で決まる
- ✓ SNSの役割は3つに分解できる。役割を決めれば、苦手なまま楽になれる
「やらなきゃ」と思いながら、アプリを開けない
SNSをやった方がいいのは分かっている。周りの院はきれいな投稿を続けている。なのに自分は続かない。数日空くたびに、後ろめたさだけが積もっていく——。
先に言っておくと、私もSNSは苦手です。投稿に魂を込められない、という感覚がずっとありました。施術や記事なら何時間でも書けるのに、SNSの投稿だけは手が止まる。続かない自分はダメなんじゃないかと、真剣に思っていた時期があります。
運用代行に頼むことも、真剣に悩みました。相場は月2〜3万円ほど。年にすれば24〜36万円です。「これで罪悪感から解放されるなら」と、何度も考えました。
この記事は、その悩みにいったん答えが出るまでの話です。精神論ではなく、数字で書きます。
台帳を見たら、答えが出ていた
悩んだ末に私がやったのは、SNSを頑張ることでも代行に頼むことでもなく、予約台帳を数えることでした。
開業からの予約履歴をぜんぶ遡って、お客様が何をきっかけに来てくださったかを集計したんです。結果、Instagram起点の予約は、ゼロでした。一件もありませんでした。
さらに、投稿の補充を2ヶ月止めていた時期がありましたが、売上への実害は確認できませんでした。つまり私の院では、SNSは集客装置として機能していなかった。何年も後ろめたさを抱えていた相手は、台帳の上では最初から戦力ではなかったんです。
理由は客層を見れば明白でした。私のお客様は平均62歳、9割が地元の方です。この方たちが施術先を探す場所は、Instagramではありません。実際、集客の主力は新聞折込チラシで、月4万円の折込の方が、何年分の投稿より多くの患者さんを連れてきました。
整体とSNSは、相性がいいのか
よく聞かれる質問ですが、「整体という業態」と「SNS」の相性を一般論で語っても、答えは出ないと思っています。
決めるのは一つだけ。あなたの患者さんが、SNSにいるかどうかです。
私のように中高年×地元密着なら、答えはたぶん「いない」。新聞・チラシ・看板・紹介の方が届きます。逆に、20〜30代の美容系のお客様が中心なら、SNSにいる可能性は高い。その場合は相性の良い媒体になりえます。
つまり「SNSやってますか?」ではなく「あなたの患者さんは昨日、何を見ていましたか?」が正しい問いです。媒体に良し悪しはなく、客層と合うかどうか——集客の記事で書いた原則と同じです。
SNSの役割は、3つに分けられる
ここまで読むと「じゃあSNSは削除でいいのか」となりそうですが、私はアカウントを消していません。かわりに、役割を決め直しました。SNSの役割は3つに分解できます。
1つ目は、集客装置。新規のお客様を連れてくる役割です。私の院では、これは機能しませんでした(台帳の実測どおり)。
2つ目は、生存証明の看板。チラシや紹介で店を知った方が「ここ、ちゃんと営業してるのかな」と確認しに来る場所です。この役割なら、凝った投稿は要りません。止まって見えなければいい。私は週1回の自動投稿だけにして、手は動かしていません。
3つ目は、発信資産。専門の知識や考えを発信して、信頼を積む役割です。私はこれを整体のアカウントではなく、このアカデミーの方でやっています。それも手動では続かなかったので、書いた記事を自動で配信する仕組みにしました。
役割を決めた日から、罪悪感は消えました。私のSNSは「集客を頑張る場所」ではなく「営業中の札」になったからです。苦手は克服していません。苦手なまま、楽になっただけです。それで台帳の数字は何も悪くなりませんでした。
今日できる一歩:直近の新規20人の「経路」を数える
カルテでも予約表でも記憶でもいいので、直近の新規のお客様20人が、何をきっかけに来てくださったかを数えてみてください。チラシ、紹介、検索、看板、SNS——正の字で数えるだけです。
SNSが0〜1人なら、あなたの罪悪感は今日で手放していい。そこに使っていた時間と月2〜3万円の代行費は、数字が出ている媒体に回せます。逆にSNSが上位なら、あなたの客層とは相性がいい。その時は胸を張って投資してください。
どちらに転んでも、「なんとなくの後ろめたさ」が「数字にもとづく判断」に変わります。それがこの一歩の価値です。
まとめ
- 私の予約台帳では、Instagram起点の予約はゼロ。投稿を2ヶ月止めても実害なし
- 相性は業態でなく「患者さんがSNSにいるか」。平均62歳×地元なら、紙の方が届く
- SNSの役割は3つ——集客装置・生存証明の看板・発信資産。役割を決めれば苦手なままでいい
- 判断の材料は、直近の新規20人の経路。台帳は嘘をつかない
「うちの客層だと、どの媒体なんだろう」と迷ったら——
あなたの台帳の数字から、一緒に考えます。
よくある質問
Q. それでも何か投稿するなら、何を投稿すればいいですか?
A. 生存証明が目的なら、営業日のお知らせ・院内の清潔な写真・簡単な近況で十分です。凝った投稿は要りません。大事なのは内容より「止まって見えないこと」なので、頻度は「無理なく続く頻度」で決めてください。私は週1回の自動投稿だけにしています。
Q. SNSをやっていないと、若い患者さんに不審に思われませんか?
A. 初めての方が確認しに行くのは、SNSよりも屋号で検索して出てくる場所——ホームページとGoogleマップです。そこが整っていれば、信頼は作れます。むしろ印象を下げるのは「最終投稿が1年前で止まっているアカウント」です。育てられないなら、置かない方がきれいな場合もあります。
Q. 運用代行に頼むのはありですか?
A. 媒体が自分の客層に合っていると確認できてからなら、選択肢だと思います。順番が逆になると、合わない媒体に毎月の固定費だけが残ります。代行は「続けられない」を解決してくれますが、「そもそも患者さんがそこにいない」は解決してくれません。まず予約台帳で、いま来ている方の経路を数えてからでも遅くありません。