Physio Kimura Academy
施術室の商売論 シリーズ:施術室の商売論 #1

同じ「自分が商品」でも、安定している場所が、まるで反対だった

2026/6/20

同じ「自分が商品」でも、安定している場所が、まるで反対だった

この記事で分かること

読了時間:約 3 分

  • 整体もハンドメイドも「自分が商品・天井がある」点は同じ
  • でも安定の源が真逆——うちはリピーター、ハンドメイドは毎月ゼロから新規
  • 強みと弱みが反対だから、守り方も攻め方も反対になる

開業して気づいたことがある。自費の整体・リハビリには、なぜか個人事業主の方がよく来る。会社員と違って、体が資本で、代わりがいなくて、無理がきかない人たち。だから、体を大事にしようとして、たどり着くのかもしれない。

そういう方々と、施術しながら話していると、よその場所では聞けない商売のリアルがこぼれてくる。商談でも飲み会でもない、体を預けている時間だからだろうか。「儲かってます」ではなく、「これがしんどいんですよ」が聞ける。

その話が、いちいち面白い。

整体とハンドメイド、結局どっちも「自分が商品」

先日は、ハンドメイド作家さんが来てくださった。アクセサリーを作って、ネットで売っている方。施術の合間に、つい商売の話になった。

話していて、整体と似てるなと思った。

結局どっちも、自分が商品だ。手を動かせる数に限りがあるから、売上に上限がある。代わりがきかないのは強みだけど、裏を返すと、それ以上は伸びない。一人で抱えている商売の、宿命みたいなものだ。

ただ、ひとつだけ、まるで違うところがあって、そこが面白かった。

来月が読めるうちと、今月が読めないハンドメイド

うちは、来月の売上がなんとなく読める。同じ方が、また来てくださるので。その代わり、自分の体はひとつしかないから、どれだけ予約が読めても、入れられる枠は決まっている。

ハンドメイドは、これが逆らしい。

作れる数に限りがあるのは、こちらと同じ。でも「今月、何個売れるか」が、まったく読めないという。バズって急に注文が来ることもあれば、ぱたっと止まる月もある、と言っていた。

同じ「自分が商品で、天井がある」仕事なのに、安定を生んでいる場所が、ちょうど裏返しだった。

強みと弱みが、ちょうど反対を向いている

うちの安定は、要するにリピーターさんのおかげだ。

ハンドメイドには、それがない。アクセサリーは、一度気に入って買ったら、しばらくは買わない。だから毎月、新しいお客さんを、ゼロから見つけ続けないといけない。

「また来てくださる方がいる」というのは、地味だけど、地域でやっている商売の、いちばんの強みなのかもしれない。天井は低いけれど、足元は固い。

逆に、ハンドメイドの拡がりは、素直に羨ましかった。地理に縛られず、寝ている間にも売れていく。足元は揺れるけれど、天井がない。

どっちが良い悪い、という話ではない。強みと弱みが、ちょうど反対を向いている。だから、戦い方も反対になる。守るべきものも、攻めるべき場所も、まるで違う。

その方は、一人で抱えないように、仲間とチームを組んで、作れる量を増やす工夫をたくさんされていた。揺れる足元を、別のやり方で固めようとしている。その話が、いちばん勉強になった。

施術室には、いろんな商売が運ばれてくる

人の体を触りながら、そんなことを考えていた。

施術室にいると、いろんな商売が、体の疲れ方と一緒に運ばれてくる。それを聞いて、自分の商売の輪郭を、逆になぞる。最近、それがひそかな楽しみになっている。

たぶん、この話は続く。