Physio Kimura Academy
総論 Red Flag・安全性 シリーズ:Orange Flag #1

Orange Flag とは何か — 紹介すべき「心の Red Flag」

2026/6/16

Orange Flag とは何か — 紹介すべき「心の Red Flag」

この記事で分かること

読了時間:約 3 分

  • Orange Flag は「心の Red Flag」。治す旗ではなく、つなぐ旗
  • Yellow(治療対象になる心理)との境目をどう見分けるか
  • 私たちは診断しない。気づいて、適切な専門職につなぐ

Yellow の隣にある、もう一つの旗

Yellow Flagは、痛みに対する不安や恐怖——私たちが向き合い、関わっていく治療対象でした。けれど、心の問題のすべてが私たちの守備範囲にあるわけではありません。

不安や落ち込みが、痛みへの自然な反応の範囲を超えているとき。そこにあるのは Yellow ではなく Orange Flag です。Orange は、いわば「心の Red Flag」。Red Flagが身体の危険を医療につなぐ旗だったように、Orange は精神面の危険を専門職につなぐ旗です。

Yellow と Orange の境目

同じ「気持ちの問題」でも、向き合うのか・つなぐのかが分かれます。ここを取り違えると、本来は精神科や心理職につなぐべき人を、私たちが抱え込んでしまうことになります。

Yellow FlagOrange Flag
中身痛みに対する不安・恐怖・誤解痛みの範囲を超えた精神医学的な状態
「動くと壊れそうで怖い」何にも興味が持てない、眠れない日が続く、死にたい気持ち
私たちの動き向き合う・関わり方を変える治療対象にしない。医師・心理職へつなぐ

ポイントは「痛みの話を超えているか」です。痛みについての不安なら Yellow。痛みとは切り離して、生活全体・人生そのものに影が差しているなら Orange を考えます。

気づきたいサイン

私たちは診断する立場ではありません。けれど「これは様子が違う」と気づくことはできます。次のようなサインです。

  • 気分の落ち込みが長く続き、何をしても楽しめない(興味・喜びの喪失)
  • 睡眠や食欲が、痛みだけでは説明できないほど崩れている
  • 「自分には価値がない」「消えてしまいたい」といった言葉が出る
  • お酒や薬への依存がうかがえる
  • つらい出来事の記憶が繰り返しよみがえり、強い苦痛を伴う

とくに「消えてしまいたい」「死にたい」といった言葉は、最優先のサインです。聞き流さず、その場で受けとめ、速やかに医療につなぐ判断をします。

私たちの役割は「気づいて、つなぐ」

Orange Flag で大切なのは、無理に踏み込まないことです。

  • 診断やカウンセリングをしようとしない——それは専門職の領域です
  • 否定も詮索もしない——「気のせい」も「なぜそう思うの」も、本人を追い詰めます
  • 受けとめて、つなぐ——「つらいですね。一度、専門の先生に相談してみませんか」と橋渡しをする
  • 連携の窓口を持っておく——紹介先のあてがあると、いざというとき動けます

身体の Red Flag で「疑わしきは受診」と書いたのと同じ姿勢です。確信が持てなくても、気になったらつなぐ。それが安全側の判断です。

まとめと次の一歩

  • Orange Flag は「心の Red Flag」。治す旗ではなく、つなぐ旗
  • 痛みの不安の範囲を超え、生活・人生に影が差していたら Orange を疑う
  • 私たちは診断しない。気づいて、医師・心理職へつなぐのが役割

旗の全体像はフラッグ完全マップへ。Yellow との関わり方はYellow Flag 各論に詳しく書きました。評価の組み立てを点検したい方は評価ナビゲーター(無料)をどうぞ。